スモール・サクリファイス

アン・ルール著「スモール・サクリファイス」を読みました。この本は上・下巻で構成されており、上巻のサブタイトルは虐待の連鎖です。下巻はママがわたしを撃ったです。
スモール・サクリファイス〈上〉虐待の連鎖 スモール・サクリファイス〈上〉虐待の連鎖
アン ルール (2002/05)
実業之日本社
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秋田の豪憲くん殺害事件でも取り上げられていますが、いまや児童虐待は“どこか遠くの町の出来事”ではなくなってきています。虐待という影は誰しもが知るところに息を潜めているのです。僕に少しでもこの虐待の芽を摘むことができたなら、どんなにいいか・・・。

さて、本題にはいりますが、まず著者であるアン・ルール。彼女はアメリカを代表する犯罪ノンフィクション作家です。僕が以前読んだ「テッド・バンディ」上・下巻の作者でもあります。ちなみにテッド・バンディはTVで特集されたり、映画化されたりもしているアメリカの凶悪犯罪者。犯罪者とは思えない甘いマスクでファンクラブまであるとか・・・。連続レイプ殺人犯なんだけどね。。

話を戻しますが、彼女の著作品は本当にすごい。これが現実に起きたことなのか!と誰しもが思うであろうその迫力。ノンフィクション作品とは思えない。ただの記録本ではないのだ。犯罪者の心情や環境、またそれを追う刑事の心情等、文学作品としても目を見張るものがある。全米で大ベストセラーになったということだが、読めばその理由は必然とわかります。

さて、肝心の内容なのですが、これは自分の子供3人を銃で撃ったダイアン・ダウンズの事件を追ったものです。彼女は元ダイアナ妃をおもわせるような美貌と頭の持ち主ですが、10代のときに父親に性的虐待を受けており、そのことが今回の事件につながったと考えられています。彼女は3つの障害を持つと診断された。それが、演技性人格障害・反社会性人格障害・自己愛性人格障害だ。これらはすべて裁判に影響を及ぼすようなものではなく、このような人格障害は、通例、思春期に顕れ、そのまま大人になる。年とともに障害はなくなっていくようだが、彼女はそうでなかったらしい。ダイアンは現在も服役中で2009年にはじめての仮釈放審査を受けるらしいが、一度脱獄をしているのでどうなることやら・・。そして彼女はいまも無罪を主張している。彼女が撃ったとされる3人の子供のうち、一人は死に、一人は脳に障害が残り、一人は胸から下がまったく動かないという障害を負ってしまった。(いまは二人とも同じ家庭で養子として引き取られ幸せな生活を送っている。)また、驚くべきことに彼女は裁判中にも妊娠をし、直後に一人生んでいる。もちろん彼女が育てることはなく、4時間だけ抱くのを許されたが、その後は州がひきとり、里子してだされている。こんな無責任な行為が許されてたまるものか。ちょっとしたことでも、子供の人格や将来は左右されてしまう。ましてや、自分の子供を自分の子と思えぬ大馬鹿野郎が新たな生命を無責任に生み出すことは誠に腹立たしい。虐待は親から子へと連鎖する。虐待を受けた子供は将来、自分の子供にも虐待をするケースがほとんどだ。もちろん全てではないが。虐待を受けた子供に責任はない。しかし、頭にはきちんとした倫理がうまれていない。この問題はどうしたら解決するのか。ダイアンに限らず、虐待はそこかしこで行われている。虐待と認識されずに行われてもいる。この件に関して自分が何も出来ない無力な人間であることが悔しい。

すこしでも僕に何かできることはないものだろうか。
僕はマックのハッピーセットについてきたおもちゃのスヌーピーを眺めながら考えた。このスヌーピーのおもちゃはどうやって遊ぶんだ?
・・・・・。
しょせん僕が考えることはこのぐらいだし。

子供を守りたい。

スモール・サクリファイス〈下〉ママがわたしを撃った スモール・サクリファイス〈下〉ママがわたしを撃った
アン ルール (2002/05)
実業之日本社

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Comment

  • 2006/06/19 (Mon) 02:13
    テル子 #- - URL
    まずは社会参加から?

    子供を取り巻く社会環境について、無関心な大人が多いような気がします。昔は少しおせっかいなぐらいの面倒見のいいおばさんが、近所に一人はいたものです。何かあったときでは遅く、起きる前に声をかけてあげられる大人でいたいですね。

  • 2006/06/19 (Mon) 12:10
    しゅう #- - URL
    初めまして。

    足跡から来ました(´∀`*)

    心理学を専攻してたので大変興味深く読ませて頂きました。
    確かに虐待は遺伝すると思います。被虐待児が自分の子供を虐待せずに育てるということは想像するより難しい事なんだろうと最近改めて感じてます。

    たまたま友人のブログから飛んで自らが1歳の子供に虐待をしてしまってる方、本人のブログを拝見しましたが、本人も切ない気持ちで『だからといって子供を殴って良い理由などない。』と綴っていました。
    また、隣人が知的障害でありながら4人の母親で毎日子供の泣き声と母親の癇癪声が聞こえます。市に相談してもこれといった打開策はされず近所の人みんなで心配してる状態です。去年あたしは耐えきれずに引っ越してしまいましたが…

    虐待に対して自分の非力さ、市の動きの遅さに憤りを感じつつも助けてあげれなのがつらいですね。
    長文失礼しました。

  • 2006/06/19 (Mon) 21:14
    ウチムラ #- - URL

    >テル子様
    確かに。僕が思うに(多分)テル子さんは子供を守れる、声をあけてあげられる人なんだろうと思います。イラストからもその人柄が感じられますよ。あ、別にオバサンだって言ってるわけじゃないですよ・・・。

    >しゅう様
    はじめまして。コメントありがとうございます。
    助けてあげられないつらさってのもあるんだなぁとしゅうさんのコメントを見て強く感じました。事件になるまで、そういったことが明るみに出ない、もしくは何の対策もされないというのもいささか問題ものです。もっとも、プラバシーの問題もあるので、そのへんのところどうなんだろう・・・。市や県がもう一歩踏み込んだ政策をして頂けるといいのですが・・。

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